プレスリーとバイクのエピソードは本当だった
- バイク仲間への最高の贈り物:1965年、エルヴィス・プレスリーはメンフィスマフィアと呼ばれた仲間たちと自身のために1964年製トライアンフを計9台購入しました。
- メンフィスマフィアに贈られたトライアンフを捜しています:歴史的価値のある9台のバイクの行方について情報提供をお願いしています。
- 世界に1台だけのトライアンフ「エルヴィス・プレスリー」モデルと、そのモデルに合わせて製作されたギターをオークションに出品:「エルヴィス・プレスリー」モデルのバイクとギターをエルヴィス・プレスリー慈善財団に寄贈し、寄付金を募ります。
トライアンフモーターサイクル社は、1965年にエルヴィス・プレスリーがメンフィスマフィアのメンバー全員にトライアンフのバイクを贈ったという有名なエピソードが事実であったことを裏付ける証拠を発見しました。
彼の邸宅であったグレイスランドに保管されていた資料の中からエルヴィスの署名入りの小切手が発見されたことに加え、エルヴィスが9台のトライアンフを購入したことが事実であると、彼の親友であったジェリー・シリング氏が証言してくださいました。エルヴィスは、ロスアンゼルスの丘陵地帯を仲間と一緒にツーリングしたいと考え、全員にバイクをプレゼントしたそうです。
語り継がれるエピソード
エルヴィス・プレスリーはポップカルチャーのアイコンであり、今も語り継がれる音楽界のレジェンドです。世界で最も売れたソロアーティストであり、31本のハリウッド映画に出演した映画スターでもあります。また、大のバイク愛好家としても知られ、映画の中でもバイクを乗りこなしています。1968年のコメディ西部劇『ステイ・アウェイ・ジョー』で乗ったのは、レッドとシルバーのトライアンフ 650 ボンネビル「デザートスレッド」でした。
エルヴィスがトライアンフのバイクに出会ったのは、その映画よりも数年前のことで、いかにもロックンローラーらしい出会いでした。
1965年6月、エルヴィスはハリウッドのサミュエル・ゴールドウィン・スタジオでミュージカル映画『フランキー・アンド・ジョニー』の撮影に臨んでいました。撮影の合間のオフタイムは、LAの高級住宅街ベルエア地区にある自宅でメンフィスマフィアと呼ばれる親友たちと過ごしました。
メンフィスマフィアの一人であり、エルヴィスの友人だったジェリー・シリング氏はある日、サンタモニカ・ブルバードのビル・ロバートソン&サンズという店でトライアンフ T120 650 ボンネビルの頭金を支払い、新車を購入したそうです。シリング氏が持ち帰ったバイクを見たエルヴィスが、そのバイクでベルエア地区を走ってみたいと言い出し、シリング氏が快諾すると、エルヴィスはバイクに飛び乗ったのです。そのバイクをいたく気に入ったエルヴィスは戻るなり、輸送責任者のアラン・フォルティス氏にこう告げました。「一人一台、全員分を今夜中に注文してくれ!」と。
ビル・ロバートソン&サンズは、トライアンフの650 TR6と高性能ツインキャブレター付き650 T120を合わせて7台、なんとかその夜中に納車しました。エルヴィスと仲間達は夜中までずっとベルエア周辺を走り回り、近所の住人が警察に苦情を入れてようやく停車するといったありさまでした。2日後に残りのバイクが到着すると、9人は撮影の合間を狙ってはバイクに乗り、日曜になるとパシフィック・コースト・ハイウェイでツーリングを楽しみました。
エルヴィスの親友ジェリー・シリング氏はこう振り返ります。「エルヴィスはバイクに乗ることが大好きでしたから、私が買ったボンネビルを見たらきっと乗りたいと言うだろうと思っていましたし、実際そのとおりになりました。しかも彼は、みんなが一台ずつ持てば、全員一緒に走れると考えたのです」
1964 トライアンフ 650 TR6 と ボンネビル T120
エルヴィスが購入したバイクは、トライアンフの650 TR6と650 ボンネビル T120の 1964年モデルである可能性が高いと考えられます。2モデルとも世界中でヒットした高性能ロードスターであり、キャブレターが1つであるか2つであるかということと、チューニングが異なるという以外は、基本的に同じでした。1964年製ボンネビルのカラーはゴールドとアラスカンホワイトで洗練された雰囲気、TR6のカラーはハイファイスカーレット&シルバーシーンにゴールドのピンストライプ、フレームとフォークはブラックという独特のカラーでした。
ボンネビル T120は、ユタ州で開催された「ボンネビル・ソルトフラッツ」の最高速アタックで世界最高速を何度も記録したことを記念して誕生し、そのデザインは当時のバイクの手本とされ、トライアンフが1960年代にパフォーマンス、ハンドリング、スタイリングのすべてで他社を圧倒する原動力となりました。1964年の米国仕様の「ボニー」は高めのハンドルバーを装備したクラシカルなスタイルでした。
メンフィスマフィアに贈られたトライアンフの捜索にご協力ください
メンフィスマフィアに贈られたバイクが1965年の夏以降どうなったのか正式な記録はなく、その行方は9台とも不明です。トライアンフは現在、これらのバイクがどうなったのかを突き止めるため、世界中の皆様に情報提供をお願いしています。
9台のうちのどれか1台についてでも、何らかの手がかりや最後に目撃された場所などをご存じの方は、是非ともトライアンフにご連絡ください。
トライアンフとエルヴィスの関係者一同が一丸となって捜索しています。9台の貴重なバイクの内の1台だけでも無事に見つかり、トライアンフの他の名車とともに展示できる日が訪れることを私たちは願っています。
9台のうちのどれか1台についてでも所在等の情報をお持ちの方はトライアンフにご連絡お願いいたします。連絡先は[email protected]です。
世界に一台だけの「エルヴィス・プレスリー」カスタムのトライアンフ
とギブソンのレスポール
エルヴィスのエピソードが事実であったことが証明されたおかげで、今まで明らかになっていなかった新たなページがトライアンフの歴史に加わりました。トライアンフとエルヴィス・プレスリー・エンタープライズは、長く続く両ブランドが今回の発見によって大切な歴史を共有できたことを記念し、世界で一台だけのカスタムバイクを製作することを決定しました。完成したバイクはオークションに出品され、落札額は慈善団体に寄付されます。
このカスタムバイクは最新のT120をベースとし、受賞歴のあるカスタムアーティスト、J Daar氏が手掛けています。1964年にメンフィスマフィアに贈られたバイクと、1968年の映画『ステイ・アウェイ・ジョー』に登場したデザートスレッド、そしてエルヴィスが出演した伝説のテレビ番組『1968 カムバック・スペシャル』からインスピレーションを得ています。ゴールドのブロック体で書かれたエルヴィスの名前が輝き、レッドのタンクに映える彼のシルエットが1968年の『カムバック・スペシャル』のセットを彷彿とさせます。
このバイクはアラバマ州バーミンガムで開催された2023年バーバー・ヴィンテージ・フェスティバルにて、トライアンフUSAマーケティングディレクターのアダム・ヴァンダーヴィーンによって公開され、トライアンフの数々の名車とともにフェスティバル内のトライアンフのスペース「Isle of Triumph」に展示されました。展示車両の中には、エルヴィスが購入した何台かのバイクと同じゴールドカラーの1964年製ボンネビル T120があり、そのバイクを所有するローラ・ランガム氏は、「Isle of Triumph」で行われたイベント「VAHNAモーターサイクルショー」にも同バイクをエントリーしていました。
バーバー・ヴィンテージ・フェスティバルでカスタムバイクアーティストのJ Daar氏は次のように語っています。「この素晴らしいバイクをお披露目でき、大変光栄です。トリビュートカスタムとはそもそも特別なものですが、キング・オブ・ロックにオマージュを捧げるバイクというのは、私が手掛けた中でも指折りのクールなプロジェクトでした。このバイクのオーナーとなる方にとって間違いなく自慢の一台となるでしょう。エルヴィスの偉業を称える唯一無二のデザインというだけではありません。慈善団体のための寄付を募るという大切な役割がこのバイクにはあります」
バーバー・ヴィンテージ・フェスティバルには世界で一台のボンネビル T120に合わせてカスタムされたギブソンのレスポールも展示されました。ギブソンが寄贈したレスポールをJ Daar氏がペイントしたもので、同氏が手掛けたカスタムバイクとともにオークションに出品される予定です。1968年の『カムバック・スペシャル』のリハーサルで使用したレスポールをエルヴィスが自分のシェフにプレゼントしたという、気前のいいエピソードがあることからレスポールが選ばれました。このレスポールにはカスタムバイクと同じレッド、シルバー、ゴールドのカラーリングに加え、フューエルタンクとサイドパネルにあしらわれた印象的なエルヴィスのグラフィックや、1968年の『カムバック・スペシャル』をイメージしてボディに描かれたエルヴィスのシルエットなどのデザインも取り入れられています。
ギブソンのチーフ・マーケティング・オフィサー、ベス・ハイト氏は次のようにコメントしています。「エルヴィスチームとのパートナーシップを通し、彼の功績を称えることができて大変光栄です。私たちと関わりの深いグレイスランドとトライアンフが力を合わせ、慈善団体のための寄付を募るという目的のためにカスタムバイクを製作すると聞いたとき、エルヴィスの大らかな人柄を愛する者として、私たちも是非参加したいと思いました。2022年にはDGR(Distinguished Gentlemen’s Ride)を支援するために1959年レジェンドコレクションを製作しましたが、そのときと同様に、今回のレスポールもカスタムバイクと完璧にマッチするようにデザインされています」
9台のうちのどれか1台についてでも所在等の情報をお持ちの方はトライアンフにご連絡お願いいたします。連絡先は
エルヴィス・プレスリー・エンタープライズのオーナーであり、オーセンティック・ブランズ・グループのエンターテインメント部門エグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるダナ・カーペンター氏は次のようにコメントしています。「トライアンフのような歴史あるブランドと提携し、ボンネビル T120をベースにした世界に一台のカスタムバイクを製作することを通し、エルヴィスが懇意にしていた慈善団体であるメンフィスのグッドウィル・ホームズ・コミュニティ・サービスのために寄付を募ることができ、大変嬉しく思っております。また、ギブソン社からはバイクとお揃いのカスタムを施したレスポールをご提供いただきました。気前が良く、仲間を大切にしたエルヴィス・プレスリーの生き様がさらにクローズアップされました」
ボンネビル T120のカスタムバイクと、それに合わせて製作されたギブソンのレスポールはオークションによって寄付を募るためにエルヴィス・プレスリー慈善財団に寄贈されました。寄付金はエルヴィスが懇意にしていた慈善団体、グッドウィル・ホームズに贈られ、虐待を受けた子どもたちとその家族へのカウンセリングや各種サービスのために使用されます。
オークションの詳細はGraceland.comで近日発表されます。